これまでの記事でも何度か触れた内容になりますが、ITエンジニアの有効求人倍率は、ここのところずっと高止まりしていることは皆さんご存じですよね。
その理由としては、IT業界の発展に伴う採用ニーズの増加、ニーズをキャッチアップした上でシステム開発に反映できる人材が慢性的に不足していること、ハードな仕事の割に年収が低くなりがちで若者のIT離れの傾向にあるという背景が考えられます。
この記事では、ITエンジニアは本当に慢性的に人手不足のままなのかどうか、今後の動向について分析してみたいと思います。
IT業界の現状は?

市場規模について
少し古いデータになりますが、2015〜2016年では、業界規模は6兆4,178億円で123業界の中で40位となっています(業界サーチ.comより)。業界規模1位の卸売業界の規模が87兆円、2位の電気機器が83兆円ですから、上位の業界と比較すると小さい規模とも言えます。
伸び率は+5.6%と他の業界と同程度ですが、一方で、重要な指標となる収益率に関しては+0.06%とかなり低い数字となっています。
ITへの投資は金額が大きいため、企業にとっては容易に決断できないものです。そのため、景況感に大きく左右されます。コロナという有事でやや低迷してはいますが、終息に向かうにつれて比較的早い景気回復が見込まれるため、今後徐々にIT投資に積極的な企業も増え、伸び率や収益率も上がってくる可能性はあります。
エンジニア職種の平均年収について
IT業界の平均年収は593万円で、123業界中、71位と中盤よりやや下の順位になっています。その理由としては、ソフトウェア開発という仕事が労働集約型産業という点が大きな理由といえるでしょう。
つまり、参入障壁が低い分、いろいろな企業が業界に参画してくることから、供給量が増え、販売価格が上がりづらくなり、結果、給与などの人件費も高くなりにくいという構造となっています。
また、ITゼネコンといわれるように孫請けSIerなど商流における下流のプロジェクトなどを請け負う企業は、十分な利益を確保しにくいため、それに従い給料水準も担保しにくいということ一つの原因となっているといえます。
IT人材の人材不足の度合いについて
コロナの影響ができる前は、技術職としてのITエンジニアの人手不足は慢性的で、有効求人倍率は常に2倍前後で推移していましたので、コロナが終息に向かえば同水準の求人倍率になることも予想できます。
また、今後更にスピードを上げてクラウドコンピューティングやビッグデータ、AI、IOTの活用など、IT業界のテクノロジーは進化していくことが予想されます。それに伴い、企業側としては、専門・先鋭スキルのある、若いエンジニアに対しての採用意欲は益々高まっていくといえるでしょう。
今後のIT業界で伸びていく分野について

人工知能(AI)
人工知能とは、人間の脳が行っている知的な作業をコンピュータで模倣したソフトウェアやシステムのことです。主にホワイトカラーが行っている、知的と言われてきたオフィスワークなどを代替することを期待されている技術です。
企業としては、事務処理などの単純作業を人工知能に代えることで、浮いた人件費やリソースを他の事業に振り分けることができることなどから、注目が高まってきています。
RPAサービスなどの普及がまさに時代の到来を感じさせますね。この勢いが継続すると誰でも出来る仕事の多くはAIにとってかわることでしょう。
IoT
IoTとは「Internet of Things」の略称で、一般的に「モノのインターネット」と呼ばれています。既存の家電製品や自動車など、または人の持つウェアラブル端末(スマホ)など、あらゆるモノを通信でつないで、遠隔操作したり、データを収集したりするのに役立てようとする技術です。
さまざまな産業で応用が可能なため、人工知能と並んで、成長の期待されている分野です。
皆さんのご家庭で使われている家電製品においても、外出中にエアコンをつけれてたりとテクノロジーの進化を実感する機会も実際に多いのではないでしょうか。
クラウドサービス
クラウドコンピューティングとは、従来まで、利用者が自身の端末、あるいは、有形のサーバから取得・利用するしかなかったデータやソフトウェアを、ネットワーク経由で利用できるようにした技術のことです。SaaS(Software as a Service)やPaaS(Platform as a Service)などがあります。
この技術の登場によって企業は、高価なハードウェアやソフトウェアなどを自社で購入しなくともデータやソフトウェアなどにアクセスすることができるようになり、より経済的な経営を行うことが可能になりました。
また、クラウドサービスの普及により、クラウドに詳しいインフラエンジニアの需要も非常に高まっています。
既存産業をITで代替する
皆さんも普段使われている食べログなどのサービスは、全国各地のグルメ情報を集約しており、グルメ雑誌など購入しなくても、行きたいお店を容易に検索することができます。
また、NewsPicksのようなキュレーションサイトは、各ウェブメディアからニュース記事をピックアップするサービスを展開しており、何冊も紙の経済雑誌を買わなくても済むような利便性を提供しています。
このように、既存の産業をITの技術を用いて、より便利にしていくサービスの需要は今後も増えていくことが考えられます。
また、既存の産業だけではなく、レガシーな領域≒今だアナログ要素が色濃い領域へのIT導入を着手する企業も増えてきていることも覚えておくとよいでしょう!最近では農業領域に対して流通の活性化を目指している食べチョクなどがその例としてあげられます。
消極的なエンジニアの市場価値は低下する

誰でもできるプログラミングはAIができるようになる
先述の通り、人工知能は人間の知的生産活動を代替することが期待されています。人工知能に適正な情報をインプットをし続け、良質な機会学習をさせ続ければ、プログラミングなどは人間よりもむしろ人工知能の方が得意な領域なのでしょう。
極限まで学習を究めれば、ミスコードもなくなり、かつコーディングのスピードは人間とは比べ物にならないほど。また、RPAなどのサービスが急激に普及している理由として人工知能は人件費コストがかなり削減できるため、代替可能ならば、あえてプログラマーとしての人間を使い続ける経済合理性は企業にはないことが大きな原因といえます。
教育機関のプログラミング必修化でエンジニア数が増大する見込み
義務教育でプログラミングが必修化された場合、必然的にプログラマー人口は増大するわけですから、供給力も増大します。プログラマー間で競争が激化するのも時代の到来はそう遠くはないでしょう。
コンピュータに代替されない能力を身につける
今までの内容を読んでいただいてもおわかりいただける通り、今後はコンピュータに依存しない、人間的・有機的な仕事がより重要になってくるといえます。
たとえば、要件定義でクライアントからニーズを引き出すことができるコミュニケーション能力であったり、プロジェクトの人的な管理、予算の管理などのマネジメント業務。そして、人工知能自体をメンテナンスする業務がそれに当たります。
最後に
いかがでしたか?
現状のIT業界の人手不足は、周知の事実です。しかしこれほど人手不足と言われながら、ITエンジニアの賃金は相対的に低く留め置かれているということから単純にエンジニア=市場価値が高い=年収が高いとはいかず、日々のトレンドに合わせた専門的な知識やスキルを随時アップデートしなければなりません。また同時にコミュニケーションスキルやマネジメントスキルといった人だからこそできる仕事のスキルを磨くことも非常に重要になってきます。
転職市場もコロナ終息後は、しばらくは売り手市場が続くのではないかと予想されますので、現役エンジニアの方、あるいはITエンジニアを目指している方は、粘り強く勉強や研鑽を続けて欲しいと思います。
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